毎日新聞より
特別支援教育や外国人の児童・生徒の指導を担う教職員を安定的に確保するため、文部科学省が公立小中学校の教員定数の基準を定める義務標準法の改正を検討していることが分かった。文科省は今後財務省と調整し、来年の通常国会に法改正案を提出、2017年度の新制度導入を目指す。【佐々木洋】
教員定数は、義務標準法に基づき学級数に応じて自動的に決まる「基礎定数」と、いじめ対策など学校現場が抱える諸課題に対応するため毎年政策的に配分する「加配定数」の合計。16年度の全国の教員定数は69万357人(15年度比3160人減)で、うち基礎定数が62万6624人(同3685人減)、加配定数が6万3733人(同525人増)だった。
基礎定数は少子化に伴い減少傾向にある一方、通常学級で学びながら、障害のため授業によって別のクラスで学ぶなど特別な支援が必要な子どもや、日本語指導が必要な外国人の児童・生徒は増加している。文科省はこうした子どもたちを指導する教員について、加配定数を増やして確保してきた。
しかし、加配定数を巡っては教員を充実させたい文科省と、教員増による財政負担を減らしたい財務省の意見が予算編成で対立し、決着が長引くことが多い。教員の人件費は国が3分の1、都道府県が3分の2を負担しているため、予算編成が遅れれば都道府県の教員採用計画策定も遅れる悪循環もあった。
このため、文科省は加配定数のうち、特別支援教育などのために確保している枠を減らし、基礎定数に振り替える方向で検討している。対象の児童生徒数に応じた定数にすることで、特別支援教育などを担当する教員を安定的に確保できる。都道府県も教員採用計画を策定しやすくなるとみられる。