青森県では10月10日に、第57回青森県知的障害教育研究大会下北大会、第40回青特研知的障害教育部会特別支援学校支部研究大会むつ大会、第45回青森県言語障がい児教育研究大会下北大会の3つの合同大会が約500名の参加で開かれました。
この大会には、当会の特任事務局員であり「青森県ことばと心を育む会」副会長の竹ケ原克哉さんが大会役員として参加されました。
また、「大会開催によせて」として、青森県ことばを育む会の天内幸子会長のあいさつが大会要項に掲載されています。現在の特別支援教育をめぐる状況や親の想い、青森県での取り組みなど、大変参考になる文章です。ぜひご一読ください。
大会開催によせて
青森県ことばと心を育む会
会 長 天 内 幸 子
3大会の合同開催にあたり、当会を代表致しましてご挨拶と御礼を申し上げます。
私達、降がいのある子の親にとりまして、毎年のこの大会で、子ども達のために懸命に学ぼうとする県内の多くの先生方の熱意・熱気に触れる時、本当に涙が出そうな程ありがたく感じます。
青森県では昭和42年に弘前市の第二大成小学校に県内初の「ことばの教室親の会」ができました。その後県内の親の会が集まって「青森県ことばと心を育てる会」を結成したのが昭和50年ですから当会は40年近い歴史があり、私はその12代目の会長に当たります。現在では、県内11の地区に13の親の会があって122家族の会員を擁し、上部組織の「NPO法人 全国ことばを育む会」と連携もしております。また県知事・教育長への陳情を続けております。
平成19年から中学枚への通級指導教室設置をお願いして参りましたところ、平成22年に八戸市立第三中学校に、平成24年には十和田市立三本木中学校と弘前市立東中学校に設置をいただいております。また、平成24年、25年と「軽中度難聴児への補聴器購入費助成制度の導入」をお願い致しましたところ、平成26年4月から導入して下さり、県内全市町村で一斉に助成が開始されました。この場をお借りして県知事・教育長をはじめ担当部署各位に厚く感謝致しますとともに、今後も子ども達のために何が望ましいのかを私達なりに聞き、感じ、考えてお願いし続けて参る所存です。
特別支援教育の開始から7年、青森県では校内委員会の設置率が99.5%、特別支援教育コーディネーター指名率が99.8%です。でも委員会の開催回数が年0回~2回が55.1%では実効性に疑問を感じます。また自分の学校にコーディネーターがいてどの先生がそうなのか、ということを何割程の親が知っているのか‥。私は、先生方がそのことを大きな声で言えないのは、親達に障がいについてまだ偏見(差別感)があるからではないか、本当の共生というのはまだまだなのではないか‥と感じてしまいます。
本年1月20日に「障害者権利条約の批准」というすばらしいことがありました。当会も平成24年10月に全国ことばを育む会の東北ブロック代表者会議を三沢市で開催した際に、弘前大学の安藤房治教授に「障害者権利条約と今後の特別支援教育」という演題のご講義をいただく等の勉強をして参りました。過去に、下の子に障害があることがわかり、上の子と一緒に学校に通う姿を描いていたのに遠くの養護学校に通わなければならない、と泣いた親がおりました。条約には「締約国は次のことを確保する。障害者が、他の者との平等を基礎として、自己の生活する地域社会において、障害者を包容し、質が高く、かつ、無償の初等教育を享受することができること‥」と光輝くような文言が載っています。障がい者制度改革推進会議では当初、養護学校は隔離だ差別だ廃止しろというとんでもない意見も出て、養護学校のPTA代表が養護学校はいかにすばらしい教育をして下さっているか、学校に通うことは我が子の生活の一部です、と養護学校を擁護する意見を述べる等の混乱もあったと聞きます。
今の文科省は「基本的な方向性としては、障害のある子どもと障害のない子どもが、できるだけ同じ場で共に学ぶことを目指すべきである。その場合には、それぞれの子どもが、授業内容が分かり学習活動に参加している実感・達成感を持ちながら、充実した時間を過ごしつつ、生きる力を身に付けていけるかどうか、これが最も本質的な視点であり、そのための環境整備が必要である。」と整理しております。今後ますます、条約が教育にとっても大きな指標となって行くと思います。ここで視覚障害をお持ちの藤井克徳氏の一句「締結の 前と後との 暮らしぶり 転機にせねば 2014年」真に子ども達のためを願う人達が集うこの大会が本当の共生を目指す転機の第一歩と
なることを願って!